ちょっと役立つ歯科豆知識を…
こんにちは「まめ歯科」です。
今回は歯科におけるレントゲン検査PART1についてです。
前記事のように、歯科領域ではお口の中から見えないところが多いため、その部分を可視化するためにレントゲン検査が必要となります。
レントゲン検査は硬い組織をみるのが得意
はじめに…
レントゲンはざっくり言うと硬いものしか写りません。 (厳密には違いますが…)
このため軟らかい皮膚や筋肉などの組織は写りません。
つまり、どんなかわいい人もイケメンもレントゲンをとれば同じような骨人間☠️として写し出されることになります。
平等な世界🙌🙌
ただ、骨しか写っていない(横顔の)レントゲンを見ただけでこの骨格は美しいのでたぶんイケメン(かわいい)…とわかってしまう人もたまにいらっしゃいます。(矯正の先生方に多い)
話がそれましたが、硬いものが写るということは硬い歯や骨はレントゲンでしっかり写ってくるということです。
その代わり歯ぐきは写りません。
なので、歯科スタッフはお口の中から見える部分はそのまま確認し、見えない部分はレントゲン検査で可視化することで包括的に情報を取り入れているのです。
レントゲン検査でみているもの
繰り返しになりますが、レントゲン検査では硬いもの、つまり当然ですが歯の状態をみることができます。
歯を支える骨も硬い組織の一つですので、骨の状態もみることができます。
また、詰め物や被せ物のような歯科材料(レジンや金属、根の治療で用いる材料など)もレントゲンで確認することができます。(レントゲンに写らない材料も多くあります。)
これまでどんな治療をしたのか(治療歴)が、レントゲンをみればある程度把握できるというわけです。
あ、この詰め物はずれそう… この被せ物は虫歯で隙間が出来始めている…など
その他には、例えば唾液腺(唾液をつくるところ)や唾液が出てくる管に石のようなものができてしまった場合(唾石症だせきしょう)もレントゲンに写ることがあります。
石灰化(せっかいか)という病変で硬くなっているため、レントゲンに写ってきます。
痛いことで有名な尿路結石をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
唾石はレントゲンで偶然発見されるように無症状のこともありますが、尿路結石同様、強い痛みを伴うこともあります。
まとめるとレントゲン検査では以下のものを積極的にみていきます。
歯冠しかん…歯の頭、お口の中から見える部分
歯根しこん…歯の根、歯ぐきで隠れている部分
歯髄しずい…歯の内部(神経)
歯槽骨しそうこつ…歯を支える部分の骨
顎骨がっこつ…顎の骨
過去の治療歴
石灰化病変 (唾石のほかに、歯石も付着具合によってはレントゲンで写ってきます)
以上の内容を一つずつピックアップしていくとものすごい量になりますので、今回は歯冠(歯の頭の部分)と歯髄のお話に絞ってまとめていきます。
他の部分は、次以降記事にまとめていきます。
見えないところが見たい
虫歯になったときや歯が欠けてしまったとき、詰め物がとれてしまったとき…などなど…
歯にトラブルが起きた時は、まずはじめにレントゲンを撮り状態を確認していきます。
症状のある歯がどの程度虫歯なのか、欠けているのかなどで、治療方法が全く異なってくるためです。

痛い歯があってレントゲン撮るのは分かるけど、クリーニングに行ったりしてもレントゲン撮るのはなんで?虫歯ないのに。
確かにクリーニングをしたいということで受診した場合でも、レントゲン写真を撮ることが多いです。
トラさんのように、なぜなのか🤔と思われる方もいらっしゃると思いますが、これは上記にまとめたようにお口の中から見えない情報をレントゲンから得るためなのです。
自覚症状のない何かがあるかもしれないので、それを見つけるためです。
自分で認識できていない虫歯も、レントゲンをとってはじめて発見されるということはよくあります。
特に歯と歯の間(一番虫歯になりやすいところ)はお口の中からはほとんどみえないため、この部分の虫歯の発見にはレントゲンが欠かせません。
では、レントゲンをとったら何でも写るか、100%の検査なのか、というと…
実はそのようなこともありません。
レントゲンに写りにくい歯の向きや生え方というのもあります。
歯が重なって生えていたりすると、うまくレントゲンには写りません。
この場合は撮影の仕方を変えるなどして対応していきます。それでも限界はあります…
少し専門的になりますが、歯と歯の間をみるのに特化した撮影法(咬翼法こうよくほう)という方法を用いることで、通常の撮影法では見えにくいところにフォーカスを当ててみることもあります。
また、レントゲンを読影するのは現時点では人間です。
読影する人によっても診断が分かれるということもあり、レントゲン撮影が100%の検査とは言えない理由がここにもあります。この点AIはとても有利ですね。
このため複数人で読影をするということもよく行われています。
このように、できるだけ100%の検査となるようクリニック側も手を尽くしているのです。

そんなにしてまで虫歯をみつけたいの?
暇なの?
暇ではないのですが…
なぜ虫歯を検出したいかというと、虫歯は自然治癒しないという特性があるからです。(ここについても詳しくはあとでまとめていきます。)
他の病気とも同じで、虫歯も早期にみつけることが大切なのです。
歯の内部をみる
そして、レントゲンで歯をみるうえで一番といっても良いくらい大事なところは…
歯髄しずいと呼ばれる歯の神経です。

虫歯で歯が痛かったから、奥歯の神経抜いてきた
ミケさんが言うところの神経がまさに歯髄ということになります。
神経をとるくらいの痛みということはミケさんの虫歯は相当大きかったようでですね。
しかし、厳密にはレントゲンで歯髄を確認することはできません。
歯髄は血管や神経が豊富な軟らかい組織だからです。レントゲンは硬いものをうつします。
レントゲンで確認できるのは歯髄が入っている(いた)部屋(レントゲンではなにも入っていないように見える)のみになります。
ではなぜここが大事かというと…
神経がある歯なのか、ない歯なのか、神経まで到達する虫歯や欠けなのか、歯髄に明らかな感染はあるのか…など
歯髄への影響の有無で治療内容が全く変わってくるからです。
実際のところはレントゲンだけでは歯髄の状態をみることはできないので、別の検査や顕微鏡を用いて実際に歯髄をみることで評価するということになります。
レントゲン写真上では神経が生きているようにみえても、死んでしまっている…ということもよくあります。
このように、歯の一部だけでもレントゲン写真の持つ情報量はとても多く、治療方針を決めるためには欠かせない検査なのです。
実際は歯冠や歯髄だけではなく、歯の根や骨などもみていき患者さんの健康に貢献できるようにしています。
ということで…
今回は歯の一部について記事にしました。
【今回記事のまとめ】
レントゲン検査は歯や骨などの硬い組織の状態をみるために用いられる。
お口の中をみてわかる情報(歯、歯ぐきの状態)と、お口の中からは見えない部分(骨、歯の根の状態など)をレントゲンで写し出し、双方を包括的にみて診断に役立てている。
治療の鍵となる歯髄の情報を知る上でもレントゲン検査の持つ意味は大きい。
自覚症状がない虫歯などもあるので、早期発見のためにレントゲン検査は必須。
他の部分をレントゲンでみていく意味については、次以降の記事で順次まとめていきます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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